披露宴の引き出物とは?基本的な意味と最近のトレンド
披露宴の引き出物とは?基本的な意味と最近のトレンド
結婚式の披露宴に出席すると、帰り際にいただくのが「引き出物」です。この日本の伝統的な贈り物には、どのような意味があるのでしょうか。また、受け取る側としてのマナーや近年のトレンドはどのように変化しているのでしょうか。今回は、披露宴の引き出物について詳しく解説します。
引き出物の本来の意味と役割
引き出物とは、結婚式の披露宴に参列してくれたゲストへのお礼として新郎新婦から贈られる贈答品のことです。「引き出す物」が語源とされ、本来は宴席から帰る際に持ち帰る料理を指していました。現代では食品だけでなく、カタログギフトや実用品など様々な品物が選ばれています。

引き出物には主に3つの意味があります:
1. 感謝の気持ちの表現:お祝いに来てくれたゲストへの感謝
2. 門出の記念品:新郎新婦の新生活の始まりを記念する品
3. 縁起物としての役割:幸せのおすそ分けという意味合い
日本では古くから「お返し文化」が根付いており、引き出物もその一環として大切にされてきました。ゲストからのご祝儀に対するお返しという側面もあります。
最近の引き出物のトレンド変化
近年の引き出物には、いくつかの顕著なトレンド変化が見られます。日本ブライダル総研の2022年の調査によると、従来の食器セットや高級タオルといった定番品から、以下のようなアイテムへとシフトしています:
– カタログギフト:全体の約65%のカップルが採用(2015年比で約20%増加)
– 実用的な家電製品:コーヒーメーカーやフードプロセッサーなど
– 体験型ギフト:食事券やスパ体験など形に残らないギフト
– ペアアイテム:ペアグラスやカトラリーなど
– 地元の名産品:新郎新婦の出身地にちなんだ特産品
特に注目すべきは、「選べる楽しさ」を重視したカタログギフトの人気です。ゲストの好みや生活スタイルが多様化する中、一律の品物ではなく、各自が自分に合ったものを選べるスタイルが支持されています。
地域による引き出物の違い
引き出物の内容や相場は地域によっても異なります。例えば:
– 関東地方:カタログギフトと引菓子のセットが一般的(相場5,000〜10,000円程度)
– 関西地方:複数の品物を組み合わせる「複数品引き出物」の傾向(相場8,000〜15,000円程度)
– 北海道・東北地方:地元の海産物や農産物を取り入れることが多い
– 九州地方:伝統工芸品を引き出物に選ぶケースが比較的多い

このような地域差は、それぞれの土地の文化や習慣に根ざしているため、披露宴に出席する際は地域性を理解しておくと安心です。
引き出物は単なる形式的な贈り物ではなく、新郎新婦の人柄や価値観、ゲストへの思いが反映される大切なアイテムです。次のセクションでは、引き出物を受け取る際のマナーや、渡される場面での適切な対応について詳しく解説していきます。
引き出物を渡すタイミングとマナー:結婚式当日の流れに沿って
披露宴当日の引き出物受け渡しのタイムライン
披露宴での引き出物の受け渡しは、当日の流れに合わせて行われるのが一般的です。最近の披露宴では、引き出物を渡すタイミングは大きく3つのパターンに分かれています。それぞれのタイミングには意味があり、新郎新婦の意向や会場の設備によって選択されます。
まず最も多いのが「お見送り時」のパターンです。披露宴の最後、新郎新婦が退場した後、ゲストが会場を出る際に受付や専用コーナーで引き出物を手渡しするスタイルです。このタイミングは、ゲストが帰宅する際の最後の感謝の気持ちを表現できるため、現在約70%の披露宴で採用されています。
次に「中座の間」に配布するパターンです。新郎新婦が衣装替えなどで中座している間に、スタッフがテーブルごとに引き出物を配る方法です。ゲストは披露宴中に受け取れるため、大きな荷物を持ち帰る際の負担が少なくなります。特に高齢者や遠方からのゲストへの配慮として選ばれることが多く、約20%の披露宴で見られます。
最後に「テーブルセッティング」のパターンです。席に着いた時点ですでに引き出物が置かれているスタイルで、ゲストは披露宴の開始時から引き出物を確認できます。近年は約10%と少数派ですが、ゲストへのサプライズ感を演出できるメリットがあります。
それぞれのタイミングでの正しい渡し方
お見送り時の場合
新郎新婦またはご両親が直接手渡しする場合は、「本日はお越しいただきありがとうございました。つまらないものですが、お持ち帰りください」などの言葉を添えます。謙遜の言葉を添えるのは日本の伝統的なマナーです。受け取る側は「素敵な披露宴をありがとうございました。大切にいただきます」と応じるのが適切です。
中座の間の場合
スタッフが配布する際は、テーブルごとに「新郎新婦からのお礼の品です」と声をかけて配ります。ゲストは静かに受け取り、「ありがとうございます」と一言添えるだけで十分です。この時、大きな声で感想を述べるのは控えましょう。
テーブルセッティングの場合
席に着いた際に引き出物が置かれている場合は、その場で開封せず、披露宴が終わるまで席に置いておくのがマナーです。近年のアンケート調査によると、披露宴中に引き出物を開封することに「違和感がある」と回答した人は85%に上ります。
心配りが伝わる引き出物の受け渡し方法
引き出物を渡す際の心配りも重要です。特に高齢のゲストや遠方からのゲストには、「お持ち帰りが大変でしたら、後日お送りすることもできます」と一言添えるとよいでしょう。実際、引き出物の宅配サービスを利用する披露宴は年々増加しており、2023年の調査では約35%の披露宴で何らかの宅配オプションが用意されています。
また、引き出物を受け取った後は、その場ですぐに中身を確認するのではなく、帰宅後に開封するのがマナーです。披露宴の場で「これ何だろう」と開封する行為は、新郎新婦の心遣いに対して失礼にあたる可能性があります。

引き出物の渡し方一つとっても、日本の「おもてなしの心」と「相手を思いやる気持ち」が表れています。形式だけでなく、その背景にある心遣いを理解することが、真の日本のマナーを身につける第一歩となるでしょう。
引き出物の渡し方の基本:言葉遣いと所作で差がつく手渡しのポイント
心を込めた引き出物の手渡し方法
披露宴における引き出物の渡し方は、単なる物の受け渡しではなく、新郎新婦からのおもてなしの心を伝える大切な瞬間です。特に手渡しの場合は、言葉遣いと所作によって、その心遣いが大きく左右されます。
まず基本となるのは、両手を使って丁寧に渡すことです。片手で渡すのはカジュアルな印象を与えてしまい、フォーマルな披露宴の場では相応しくありません。特に年配のゲストに対しては、両手で引き出物を少し持ち上げるようにして差し出すことで、敬意を表現できます。
適切な言葉遣いで印象アップ
引き出物を手渡す際の言葉遣いも重要です。結婚式場のスタッフによる調査では、適切な言葉遣いで引き出物を渡された場合、ゲストの満足度が約30%向上するというデータもあります。
基本的な言葉がけのポイントは以下の通りです:
– 「本日はお忙しい中ご列席いただき、誠にありがとうございました」
– 「つまらないものですが、お持ち帰りください」
– 「お口に合うかわかりませんが、ご家族でお楽しみいただければ幸いです」
特に「つまらないものですが」という謙遜の言葉は、日本の文化では相手を敬う気持ちの表れとして重要です。高価な引き出物であっても、このような謙遜の言葉を添えることで、日本のマナーを心得た印象を与えることができます。
年代別の渡し方のニュアンス
引き出物の渡し方は、相手の年代によっても微妙に変える必要があります。
年配のゲストへ:
より丁寧な姿勢と敬語を使い、少し前かがみの姿勢で両手を使って渡します。「お世話になっております」「いつもご指導いただき」などの言葉を添えると良いでしょう。
同年代のゲストへ:
フレンドリーながらも礼儀正しく、「今日は来てくれてありがとう」「これからもよろしくお願いします」など、親しみを込めた言葉で渡します。
子どものいるゲストへ:
「お子様にも召し上がっていただけるものを選びました」など、家族への配慮を示す言葉を添えると喜ばれます。
手渡しの際の立ち位置と姿勢

引き出物を渡す際の立ち位置も意外と重要です。結婚式のマナー専門家によると、相手との距離は約60〜80cmが理想的とされています。近すぎると圧迫感を与え、遠すぎると誠意が伝わりにくくなるためです。
また、姿勢は背筋を伸ばし、軽く会釈をしながら渡すことで、礼儀正しさが伝わります。特に和装の場合は、所作の美しさがより一層重要になります。
引き出物を渡す際のこれらの細やかな配慮は、新郎新婦の人柄や教養を表すバロメーターとなります。形式的な受け渡しではなく、心のこもった感謝の気持ちを伝えることで、ゲストの心に残る印象的な瞬間となるでしょう。
引き出物を受け取る側のマナー:感謝の伝え方と後日のお礼
引き出物を受け取るときの基本姿勢
披露宴で引き出物を受け取る際も、マナーが問われる大切な場面です。日本の文化では「頂く」という行為にも作法があり、特に結婚式という晴れの場では、その心遣いが新郎新婦や周囲の方々に与える印象に大きく影響します。
まず、引き出物を受け取る際は、必ず両手で丁寧に受け取りましょう。片手での受け取りは「軽く見ている」という印象を与えかねません。受け取る際には、軽く会釈をしながら「ありがとうございます」と感謝の言葉を添えるのが基本です。
引き出物を受け取った後、その場で中身を確認するのはマナー違反とされています。どんなに興味があっても、披露宴会場や退場時に開封するのは控えましょう。これは「贈り物の価値を確かめている」という印象を与え、品がないとされています。
後日のお礼状と感謝の伝え方
引き出物を頂いた後は、1週間以内を目安に新郎新婦へお礼状を送ることが望ましいとされています。実際に、ブライダル関連企業の調査によると、招待客の約65%が何らかの形で後日お礼の連絡をしているというデータがあります。
お礼状の書き方のポイントは以下の通りです:
– 結婚式の日付と場所に触れる
– 披露宴の雰囲気や印象に残った点を具体的に記す
– 頂いた引き出物への感謝の気持ちを表現する(品名を具体的に書くとより丁寧)
– 新生活への祝福の言葉を添える
最近ではSNSやメールでお礼を伝えるケースも増えていますが、特に目上の方や親族が新郎新婦の場合は、手書きのお礼状が喜ばれます。20代〜30代の若い世代間では、LINEなどのメッセージアプリでのお礼も一般的になってきていますが、その場合も絵文字だけではなく、きちんと文章で感謝の気持ちを伝えることがマナーです。
引き出物の活用と感謝の気持ちの表現
引き出物は単なる「お土産」ではなく、新郎新婦からの「おもてなしの心」が込められたものです。頂いた品物は大切に使うことも、マナーの一つと言えるでしょう。

特に実用的な品物(食器やタオルなど)を頂いた場合は、実際に使用している様子を後日新郎新婦に伝えると喜ばれます。「いただいたカップでいつもコーヒーを飲んでいます」「素敵なタオルを毎日使わせていただいています」など、具体的に使用シーンを伝えることで、より深い感謝の気持ちが伝わります。
また、食品類の引き出物を頂いた場合は、家族や友人と共に味わい、その感想を伝えるのも良いでしょう。「家族みんなで美味しくいただきました」という一言は、新郎新婦にとって嬉しい言葉となります。
引き出物を受け取る側のマナーも、贈る側と同様に大切です。感謝の気持ちを形にして伝えることで、新郎新婦との絆がより深まり、人間関係も円滑になっていくのです。
披露宴の引き出物マナーQ&A:よくある疑問と失敗しないための心得
引き出物の受け取り方に関する疑問
「引き出物をいただいたらその場で開けるべき?」というのは多くのゲストが抱く疑問です。基本的には、披露宴の席では引き出物の中身を確認するために開封する必要はありません。むしろ、その場で開けることは失礼にあたることもあります。2023年の結婚式マナー調査によると、回答者の89%が「引き出物は家に帰ってから開封するのがマナー」と認識しています。
また、「引き出物を受け取る際の言葉遣いは?」という質問も多いです。引き出物を受け取る際は「ありがとうございます」と丁寧にお礼を言いましょう。「恐れ入ります」や「お心遣いありがとうございます」などの言葉も適切です。
引き出物の持ち帰りに関する悩み
「大きな引き出物を持ち帰るのが大変」という悩みは、特に遠方から参列したゲストにとって切実です。最近では、約65%の結婚式場が「引き出物配送サービス」を提供しているというデータがあります。新郎新婦側が手配していない場合でも、披露宴会場のスタッフに相談すれば対応してもらえることが多いです。ただし、配送料は自己負担となる場合が一般的です。
「複数の引き出物をもらったがすべて持ち帰れない」という状況では、最低限「引き菓子」は持ち帰るようにしましょう。これは新郎新婦の「おすそ分け」の意味を持つため、残していくことは失礼に当たります。
引き出物に関するよくある質問
Q: 引き出物を忘れてしまった場合はどうすればいい?
A: 気づいたらすぐに新郎新婦か仲介してくれる親族・友人に連絡しましょう。多くの場合、会場に一時保管されているので後日受け取ることができます。遠方の場合は郵送対応してもらえることもあります。
Q: 子供連れの場合、子供用の引き出物はある?
A: 最近では子供用の引き出物を用意するカップルが増えています。子供向けのお菓子や小さなおもちゃなどが一般的です。ただし、必ず用意されているわけではないので、期待しすぎないようにしましょう。
Q: お車代と引き出物、両方もらうのは失礼?
A: いいえ、失礼ではありません。お車代(交通費の援助)と引き出物は別の意味を持つものです。お車代は遠方からの参列に対する感謝、引き出物は出席全員への感謝の気持ちを表しています。遠慮せず受け取りましょう。
引き出物マナーの地域差について
引き出物のマナーには地域による違いもあります。例えば関西地方では、引き出物に加えて「引き菓子」を別途用意することが多く、東北地方では引き出物の品数が多い傾向があります。また、沖縄県では「御膳料」として現金を包む習慣があり、引き出物が比較的シンプルなケースもあります。
結婚式に参列する際は、地域の習慣や新郎新婦の意向を尊重し、柔軟に対応することが大切です。どのような形であれ、新郎新婦からの感謝の気持ちとして引き出物を丁寧に受け取り、後日改めてお礼の言葉を伝えることが、ゲストとしての品格ある振る舞いといえるでしょう。
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